紅花染処鈴正の匠、私、鈴木孝男について少々… あまり自己紹介は得意ではないので、簡単に。 それと職人技を少しご紹介します。 |
紅花染めの匠
山形県河北町で染色業を営む家庭に生を受けました。
若くして親元を離れ、京都、山形市と染色家としての修行を重ねていきました。
当時は、染色全般の勉強をしており、紅を染めるという事は考えていませんでした。
山形に戻ってきてから、しばらく全般的な染色師として活動しておりました。
そんな中、今から約20年前、山形で”紅花国体”が開催される事が決定されました。
河北町は紅花国体の町興しとして、紅花染めを復活させようと、匠に紅花染めを要請してきました。
それがきっかけで、紅花で染めを研究し始めました。
最初は遊び感覚で始めたのですが、やっていくうちにこだわりをもってやるようになりました。
今では、近くに畑を借りて、自分で紅花を育てて、染めの原料を作っております。
畑も紅花を育てるために始めたのですが、紅花は実は連作ができないもので、紅花を育てた後に違う農作物、白菜や食用菊などを育てることで、土壌をリセットして翌年もその場所で紅花を育てます。
その畑仕事も今では規模も大きくなり、年金で耕運機を買ってしまいました。
職人技
染め上げた生地にアイロンをかける技は、普通のアイロンがけとは違う職人技です。
一つ一つ職人の手でアイロンをかけて作り上げていきます。
アイロンをかけるために使う道具です。 下にはガスコンロがあり、その上に水を乗せて、頂上から蒸気が出てくる仕組みです。 筒は銅でできており、銅は鉄よりも熱伝導率が良いので、温度の高い蒸気が出てくるのです。 |
蒸気が出るところに、布を当てて、右に左に振りながら、少しずつ布を動かします。
布の両端、隅までしっかり蒸気が当たるように、しっかりと左右に振りながら、反対側の女将さんと呼吸を合わせて、少しずつ布が動いてすべてにアイロンがかかります。
今では、このような形で、布にアイロンがけを行うことも少なくなりました。
今でも昔ながらの伝統的な手法で、鈴正は染め上げた布を丁寧に仕上げております。